• マーク・ケイ

人好し人吉

最終更新: 2018年9月1日


青井阿蘇神社(撮影:マーク・ケイ)

少し怖い話しが続いたので、今回は少しほっこりする話しを書きたいと思います。

前回に続いて、両親の故郷である「人吉」でのお話です。


最近ではアニメ「夏目友人帳」などの舞台にもなっており、若い方が劇中に描かれた場所へ「聖地巡礼」と称してたくさん訪れて下さっているようですが、温泉地とはいえ日々観光客でごった返しているといった感じではありません。


商店街も閉店している店が多く、人通りも少ない、、、お世辞にも活気があるとは言えません。ただ私はそうしたどこか垢抜けない、素朴で、郷愁を誘う、人吉という町の風情が大好きなんです。


「夏目友人帳」というアニメでも「人吉」の町が鮮やかに描かれています。

人の心の中に誰しもある、心の休息地としての田舎町の原風景がそこにはあります。


「人吉」というのは「人好し」「人善し」とも言い換えられるくらい、人がとても温かく、気さくで、優しくて、人懐っこい土地柄です。方言のイントネーションにも、それが表れていたりします。


さて、そんな人吉を訪れたある日のお話です。


人吉を訪れた時は、ホテルや旅館で食事をするのではなく、地元の方が行くような小さな居酒屋などに行くようにしていて、大体は駅近くの飲食店が多く集る通りを歩きながら、その日の目的の場所を決めます。


その日は、ふと駅から少し離れた場所で食事をしようと、球磨川を超えて永国寺の方向へと歩きました。すると一軒だけポツンと暖簾の下がった焼き鳥屋さんが見えます。


他にはお店もなさそうなので、これ幸いとその焼き鳥屋さんへ入ることに決めました。

暖簾を手でかき分け、扉を開いて店内に入ると、狭いその店には店主と思しき中年の男性がカウンターの中ではなく、客席に陣取って新聞を広げてリラックスしています。


一瞬「あ!入っちゃいけない店に入ってしまったかな・・・」と後悔しましたが、入ってしまったものは仕方ありません。


店主は扉の開く音ですぐに気付き、今まで開いていた新聞を畳んでテーブルに置きました。

そしておもむろに立って「いらっしゃいませ!すみません、お客さんがいないんで、くつろいでました」と店主。


「開いてますか?」と私が聞くと「は、はい!開いてますよ、どうぞどうぞお座りになって下さい!」


申し訳ないくらい何度も頭を下げ、笑顔で私をテーブルに案内してくれました。

「いや〜こんな場所でしょ?ご近所の方以外には滅多に一見のお客さんは来ないので、今日は来て下さって嬉しいです!さ〜何にしましょうか、あ〜これはどうですか?」


そして「おーい、おーい、お客さんだぞ!」と、どうやら奥様を呼んでいる様子。

それから注文していない料理まで出して頂き、ご夫婦と私の3人で地元人吉の話しに花を咲かせました。


初めて会ったのに、馴染みの店か、親戚の家に遊びに来たかのように迎えてくれたご夫妻。

この日は、素晴らしく楽しい夜を過ごしました。


いざ、お勘定になると、そんな額で良いのかというほどの料金。安過ぎるのです。

「計算間違いじゃ・・・」

「いや、いいんです。来て頂いて嬉しかったのは私達の方ですから。

また来られた時にたくさん注文してもらえれば」


その日はお言葉に甘えて、お店を後にしました。


翌日は福岡へ帰る日です。

帰りの電車までは時間があるので、人吉の町を散歩することにしました。

ひとしきり散歩を楽しんで、人吉駅に着いたのは午後2時くらいだったでしょうか。

駅に入ろうとしたところ、誰かに背後から声をかけられました。

「いや〜会えて良かった〜」

何と、昨夜の居酒屋のご主人です。


この日に福岡へ帰るとは言っていたものの、何時の電車で帰るとまでは話していませんでしたから駅前に車を停めて、午前中から私が来るのを待っていたそうなのです。


電車の長旅でお腹が空くだろうと、朝一番でケーキを買って来てくれていたのです。

「これ食べてもらいたいと思って」

「ずっと待ってたんですか?」

「いや〜昨日は嬉しかったもんだから、お礼にと思って」

そのご主人の温かさと、人懐っこい笑顔に、涙が溢れそうになりました。

私はご主人に見送られて、人吉を後にしました。


それ以降、ご主人とは年賀状のやり取りが続きました。

年賀状には「また来て下さい」と毎回書いてあり、私もご主人の笑顔をまた見たいといつも思っていたのですが、なかなか忙しく人吉に行けないままに年月は過ぎ去っていきました。


すると年賀状がある時期からピタリと来なくなってしまいました。

気にはなっていても、なかなか人吉に行けないまま時間は経過してしまいます。

やっとのことで数年振りに人吉へ赴き、ご主人を突然訪ねて驚かせようと思ったのですが

焼き鳥屋があった場所は既に更地になってしまっていました。

もう商売を辞めてしまったのでしょうか。

身体を壊してしまったのでしょうか。

移転したのか、それとも人吉以外の場所に引っ越したのでしょうか。


私が20代の頃の話しなので、お元気ならご主人は70代くらいかな。

元気でいてくれると良いのですが。


これは特殊な例かもしれませんが、人吉の人はいつも気さくに声をかけてくれます。

だから一人旅も、こちらが心を開きさえすれば全く寂しくはありません。

町を歩いていても、見ず知らずの私に声をかけて下さる方がいますし

温泉に浸かっていると、地元のお年寄り達との会話が弾みます。


ある時も、青井阿蘇神社での参拝を終えて、鳥居の前で佇んでいると

1人のお婆さんが歩み寄って来て「どこから来たの?」と尋ねます。


福岡から来ていて、実は両親が人吉の出身で、と生い立ちや身の上話をすると

そのお婆さんは、私の背中を温かいその手でさすってくれ、涙を流しています。

「そうか、そうか、よく来たね。お父さんも、お母さんも喜んでるよ」と。


その後、お婆さんは私の手をギュッと握りしめて、ニコッと笑い

その場を涙を拭いながら去って行きました。


私が人一倍、人吉という地に思い入れを持っているからかもしれないし

出会いの偶然が重なっただけともいえるかもしれませんが

人吉は私にとって本当に「人好し」な場所なのです。


都会で心が疲弊したら、皆さんも「人吉」を訪れてみませんか?

その時は、心閉ざさず、心を開いて、自分の方から人へ歩み寄ってみて下さい。



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