• マーク・ケイ

夢を覚えておくためには

最終更新: 2018年9月1日




これまで2回に渡って「明晰夢」についてお話をして来ました。

記事をお読みになられた方から、ご感想やご質問をお寄せ頂いたりも致します。


「"夢"に対する関心が深まった」「"明晰夢"を見てみたいと思った」・・・というご感想が多い中で、やはり「その日に見た夢をどうしても覚えていられない」という問題が大前提にあるようです。


今回は、その日に見た「夢」を覚えている為にはどうしたらいいのか、に的を絞ってお話を進めてみたいと思います。


結論を先に言ってしまえば「夢を覚えている」ために、「見たい夢を見ようとする」ためには、まずは自分の睡眠の質を向上させなければならないのだということです。


裏を返せば「夢を覚えていられない」のは、睡眠の質が低下しているからだといえます。


もう一度、睡眠時の脳波についておさらいをしておきましょう。 この脳波の推移が夢見や睡眠を考える上で、基本中の基本になります。




「明晰夢で人生を変える①」 でもご説明したように私達は普段、4段階の睡眠レベル(ノンレム睡眠)を経て、レム睡眠(夢見の睡眠)に到達します。


覚醒時:目が開いて活動している時の脳波は13Hz以上のβ(ベータ)波、目を閉じてリラックス状態となると8〜13Hzのα(アルファー)波が現れます。


第一段階:入眠期といわれるウトウトした状態。α波が減少し、4〜8Hzのθ(シータ)波が現れます。


第二段階:入眠時で意識がなくなった時を示します。脳波は睡眠紡錘波(Sleep Spindles)と呼ばれる12〜14Hzの律動や、K複合波(K-complexs)と呼ばれる振幅の大きい徐波が現れます。

第三段階:深い睡眠に入った段階であり、強い刺激でなければ知覚出来ない状態です。脳波は4Hz以下のδ(デルタ)波が20〜50%を占めます。


第四段階:δ(デルタ)波が50%以上を占めた更に深い睡眠レベルです。第三段階と第四段階を合わせて「デルタ睡眠」とも呼ばれます。

第四段階まで達すると、再び第三段階、第二段階、第一段階と睡眠レベルの経過は逆になり約90分程で第一段階に似た低振幅の脳波に加えて「急速眼球運動(Rapid Eye Movement)」が現れる「レム睡眠」の状態へと至ります。この段階が「夢見の睡眠」です。


*因みに不眠症やうつ病、ナルコレプシー(睡眠障害)の患者では、デルタ睡眠を経ずに急速にレム睡眠に移行するため「入眠時幻覚」などの症状を呈することがあります。また薬物などによって「夢睡眠」を取り除くことによって、うつ病を改善させる効果もあります。抗鬱薬とされるものはレム睡眠抑制作用を持っています。


この90分周期の一連の睡眠レベルの移行によるレム睡眠への到達が6時間睡眠では4回、8時間睡眠では5回訪れることになります(人によって睡眠レベルの到達周期には誤差が生じます)。


「夢を覚えていられない」人に多く見られる1つの傾向があります。

それは「寝る前のスマホの操作」です。

携帯電話会社が自ら研究機関に依頼した調査結果では、寝る前にスマホなどの携帯電話を操作すると第一段階から第四段階に達するまでのノンレム睡眠の移行が遅くなり、深い睡眠の時間が阻害されて短くなることが分かったのです。


レム睡眠は脳を創る睡眠(記憶の整理や固定化を行ないます)、ノンレム睡眠は脳を休める睡眠といわれます。

ノンレム睡眠時は、脳代謝量が低下しますが、深い睡眠である「デルタ睡眠」に至ると成長ホルモンが分泌され、組織の増殖や損傷に対する修復を図ります。

つまり深い睡眠レベルが短くなるということは、免疫機能やホルモン機能が低下し、翌日の思考能力が鈍くなったり、倦怠感を覚えたり、眠気があったりということにも繋がります。また、スマホの画面から出る光のスペクトルは、セロトニンの分泌に遅れを生じさせ、量も減少するといいます。


ノンレム睡眠の移行が遅くなると(第一段階から第四段階まで到達する時間が長くなると)、当然通常90分周期で訪れるレム睡眠の回数も減ってしまいます。


90分周期で訪れるレム睡眠は、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目が時間が長くなる傾向にあります。6時間睡眠の場合、4回目に訪れたのレム睡眠の時間は、おおよそ30分程になります。

1回の睡眠でレム睡眠の回数が減ると、トータルの夢睡眠の時間も減るということになります。6時間睡眠ではトータル70〜80分は夢睡眠ですが、寝る直前のスマホ操作で、この夢睡眠の時間はグッと少なくなるのです。


すなわち、これが「夢を覚えていない」という原因になってしまうのです。同時に心身の健康にも重大な影響を与えかねないことも分かります。


「夢を覚えていたい」、また「睡眠の質を上げたい」のであれば、スマホを寝室に持ち込まないことが一番ベターです。しかし目覚ましに使っていたり、寝室で少しスマホで調べものをしたい、メールで話したいという人は多いでしょう。


そうであれば、使用時間を短くするか、眠ってしまう直前まで使用しないことです。


ベッドでスマホを使用した後、本を読んだり(難解な本や刺激の強い本は逆効果です)、軽くストレッチをしたり(長時間や激しい運動も逆効果です)、他の行動を一旦挟んだ後、ベッドで目を閉じて、ウトウトする時間、完全に眠りに入る時間を楽しむことです。


決してスマホを触っていたら、いつの間にか寝てしまっていた、ということは避けたいものです。睡眠レベルでいう、α波からθ波への移行をなるべく感じる工夫をすることが求められます。


夢を覚えていられるようになったら「明晰夢で人生を変える②」で触れた方法で「明晰夢」にトライしてみて下さい。


睡眠の質を上げる為の方策、夢を覚えているためにはどうすればいいのか、またの機会にご紹介出来ればと思います。



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