• マーク・ケイ

妖怪・おまおろ

最終更新: 2018年9月1日


人吉城趾から水の手橋を望む

私の父(昭和2年生まれ)は、幼少の頃から不思議な体験をたくさんしており、それをよく語って聞かせてくれました。その中の1つをお話ししたいと思います。


父は熊本県の人吉市出身です。人吉という土地は熊本県の最南部に位置し、周囲を九州山地に囲まれた盆地で、日本三大渓流に数えられる球磨川沿いにたくさんの温泉がある、のどかな田舎町です。


私も3歳の頃、人吉の町外れにある親戚の家に預けられていたことがあり、しばらく住んでいたことがありました。そこは温泉の点在する市街地よりも山深い場所にあり、お風呂は五右衛門風呂で、トイレは家から外に50メートルほど行った小川の側にありました。隣の家は100メートル以上離れていて、そのほとんどは牛舎のある家です。夜はほとんど街灯もなく真っ暗闇だったのを覚えています。夜中にトイレに行くのがどれほど怖かったことか...


さて、父の体験したお話です。


祖父は材木商を経営しており、父は幼い頃はよく祖父の手伝いをし、木の伐採と運搬のために祖父や人夫達と共に山に入ることがあったそうです。ある日、父は祖父の手伝いのために、朝から祖母におにぎりを作ってもらいました。祖母は父の分以外に、祖父や人夫達の分のおにぎりも作って、それぞれに手渡しました。


山奥に分け入り、次々と木を伐採していきます。木を切るのはベテランの祖父です。手際良く伐採した木を運搬するための準備をする人夫達。父は人夫の間に入って、手伝います。


そろそろお昼。手拭で汗を拭きながら、祖父が「昼飯にしよう」と皆に声をかけます。重労働で疲れ果てた父は、腹ぺこです。たった今、祖父が切った木の切り株に座り、祖母が持たせたおにぎりに手をかけようとした瞬間、山が真夜中のように真っ暗闇になったといいます。夜が更けるように少しずつ暗くなるのではなく、本当に一瞬にして暗くなったそうです。


怯えた父は声も出せず、手探りで祖父を捜しました。祖父は父の手を掴み、小声でこう言いました。


「正士(父の名前)、動くなよ、声も出すな、これは "おまおろ"っていうんだ、動いたり、声を出したりしない限りは大丈夫だ」


何だか訳が分からなかった父ですが、異様な事態が起こっていることはすぐに分かりました。父は震えながら、事態を見守ります。


暗くなって、どれくらい経ったでしょうか?真っ暗闇だった山が今度は一瞬にして元の明るさを取り戻しました。やっと祖父の顔が見え、周囲の状況も分かり、父はホッとします。人夫達は、全く平然としています。


すると人夫の1人が落胆した声でこう言います。

「あ〜また昼飯にありつけないのか」


その言葉で父は気付きました、何と祖母が祖父や、人夫達や、自分のために作ってくれたはずの、おにぎりが全て無くなっていたのです。


祖父は「"おまおろ"が持って行った」と言います。


祖父や、人夫達にとっては日常茶飯事の出来事だったのでしょうか。

皆、おにぎりが食べられなかったことの歯痒さは口に出しますが、恐怖に狼狽える顔ではありません。


「おまおろ」とは一体何なのでしょう?妖怪なのでしょうか、狐や狸、天狗の類?

ともかく山を一瞬にして暗闇に変える妖力を持ち、十数人分のおにぎりを一瞬にして奪い去るほどの食いしん坊ぶり。ただ者ではなさそうです。


この出来事に似た話しは、昔話の類いで聞いたことがあるのですが「おまおろ」という言葉はいくら調べても出て来ません。人吉、球磨地方にこの言葉や、これらの不思議な話しが私以外に伝承され伝わっているのかも定かではありません。何かの機会に調べることが出来ればいいなと思っています。


この他にも人吉、球磨地方には不思議な話し、怖い話しがたくさんあります。


人吉の市街地から人吉城址に向かう道には球磨川を渡るために水の手橋という橋が架かっています。父が10代の頃、周囲の人達から「水の手橋を渡る時に、人吉城址の方向から着物を着た女性がやって来ることがあるが、もし橋の上で出会ったり、すれ違ったりしても、目を合わせたり、振り返って女性の姿を見てはならない」と常々言われていたそうです。


父の自宅から目と鼻の先にある水の手橋は、日常頻繁に渡る橋だったのですが、父はそんな女性とは出くわしたことはありません。そんな話しを聞かされると出会ってみたくなります。


「その女性とすれ違って、振り返ったらどうなる?」と父は聞き返します。

「すれ違って、女性に声をかけられて気が狂った人間がたくさんおる」と言われたそうです。


結論から言いますと、父は後日、この女性と水の手橋ですれ違っています。

遠くから着物を着た女性の姿が見えた瞬間に違和感を感じ、血の気が引いたそうです。

その女性には身体の厚みを感じなかったというのです。


生きている人であれば、その人には立体感があり、身体に厚みがあるのを離れた場所からでも確認が出来ます。しかしその女性はスクリーンに映し出された映像のように、平べったく薄いのです。咄嗟に父は「この人はこの世の人ではない」と悟ったそうです。


後ずさりして、立ち去ることすら怖くて出来ず、そのまま平静を装って女性が向かって来る方向に向けて歩き続けます。顔を見ないように、見ないように必死で前だけを見て歩きます。


女性とすれ違う瞬間、その女性が今にも言葉を発しようとするが如く、息を吸う音が聞こえたそうです。そこで父は前を向いたまま、たまらず走って逃げ出しました。女性は父に何かを語りかけようとしたのでしょうか。何を伝えたかったのでしょうか・・・


父は生きていれば今年89歳(1927年生まれ)、こうした話しを今尚人吉でご存知の方はどれだけいらっしゃるのでしょうか気になります。


またの機会に別な人吉のお話もしたいと思います。



公式サイト内のブログをAmebaブログにも投稿しております(2018.8.16開設)

是非フォロー下さい。

『篁霊祥命師 マーク・ケイOfficialblog ELEMENTAL』


*Blog更新情報の配信希望はこちら


#人吉 #妖怪 #おまおろ #実話 #怪談

12/31/2018

鑑定のご案内

03/05/2019

ブログ 更新

Please reload

上の項目への遷移はメニュー表示からも可能です。

Copyright © 2010 ELEMENTAL WORKS All Rights Reserved.

魂の陰陽占術師
  • w-facebook
  • Twitter Clean
  • w-flickr

​本サイトはSSL暗号化通信

により保護されています。

This site was designed with the
.com
website builder. Create your website today.
Start Now